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【焼き物】津軽焼とは?歴史や魅力について解説!

本州最北端に位置する青森県。雄大な自然に恵まれ、りんごや長芋の名産地として知られています。
その中でも津軽地方と言えば何を思い浮かべるでしょうか。有名な演歌の曲名にも使われている「津軽海峡」、特徴的な奏法と早いテンポが特徴の「津軽三味線」、色彩豊かな色ガラスの「津軽びいどろ」…津軽地方の魅力は数え切れないほどありますが、その中でも今回は「津軽焼」についてご紹介します。

津軽焼とは

津軽焼の起源は元禄10年(1697年)まで遡ります。当時の津軽藩主であった津軽信政が、藩内の陶磁器の自給自足を目指して陶工たちを集め、窯を築かせたのが始まりです。窯があった4つの地名から、それぞれ「大沢焼」「平清水焼」「下川原焼」「悪土焼」と呼ばれ、その総称を津軽焼といいます。

藩政時代には日用品から調度品まで様々なものが作られていましたが、明治に入ると鉄道の開通により他県の焼き物が流入し、その地位を奪われます。結果、大正時代には一度途絶えてしまいました。現在の津軽焼は昭和に入ってから再興されたもので、津軽地方一帯で焼かれている焼き物を意味します。

製造過程は土練りから始まり、成形、加工、乾燥、素焼き作業、下絵付け、釉薬を施す作業、本焼きを経て完成となります。

津軽焼の特徴

 津軽焼の特徴は、なんといってもその素朴な色合いと、どこか懐かしい佇まいです。
 独特な深みがある津軽焼の色は、津軽の特産品であるりんごの木灰などをブレンドした釉薬によって出されるもので、1つ1つ職人が手作りしているため全く同じものは存在しません。
 現代の生活様式に合わせ、今ではモダンな雰囲気やポップな色合いの津軽焼もたくさん存在しますし、窯元によってそれぞれ作品の特徴が異なりますので、一概に「これが津軽焼である」という風に定義するのは難しくなってきているのですが、昔も今も変わらないのはやはり使う人の生活に寄り添い、手になじむ、温かみのある風合いです。

津軽焼の窯元

・ひろの窯(青森県弘前市広野2-3-5)
 ご夫婦で陶房を開いていらっしゃいます。伝統的な津軽焼や、一見石に見えるけれど実は一輪挿しといった新しい発想の作品など、ご夫婦で全く違う作風が特徴的です。
 

・津軽千代造窯(青森県弘前市城南4-11-3)
 モダンでスタイリッシュなデザインが印象的で、料理のジャンルに関わらず幅広く日々の食卓に取り入れられそうな作品を多く作られています。普段使いの器として、家庭で毎日楽しんで使えるような工夫がされています。
 特に「彩(いろどり)」シリーズはその名の通りカラフルなお碗のシリーズで、色彩の鮮やかさに心が躍りますし、古き良き伝統を残しながらも新しい時代に沿って変化し続ける息吹を感じます。
 また、陶器でできた生姜すりは優しい丸みと美しく深い赤色が特徴で、サイズも大・中・小と3種類から選ぶことができる実用的な一品です。

・津軽焼・高野陶房(青森県弘前市清水森字沼田16-3)
 悪戸焼の技法から、地元の材料を多数使って普段使いできる作品を作られています。

他にはない津軽焼の魅力

 日本には数え切れないほど焼き物の種類があります。栃木県の益子焼、岐阜県の美濃焼、滋賀県の信楽焼、佐賀県の伊万里焼などは全国的に有名ですし、陶芸にあまり興味のない方でも名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
 それに比べて津軽焼はどちらかというとマイナーで、初めて名前を知ったという方も多いかと思います。
 前述しましたが津軽焼の魅力はその素朴で温かみのある佇まいです。飛びぬけた華やかさはなくとも、人々の日々の生活に寄り添い、日常の中でできるだけ心地よく使えるようにという思いを込めて作られてきました。
 日本海側気候で、冬には雪が多く寒さも厳しくなる津軽地方。そこで暮らす人々が地元の土をこね、地元で取れる稲やりんごで釉薬を作り、独自の美意識を織り込んで焼き上げる津軽焼。派手な絵付けや煌びやかな装飾を施された焼き物もそれはそれで素晴らしいものですが、その土地の風土を生かし、丁寧に紡がれてきた津軽焼という焼き物には、ほかの焼き物にはないほっこりとした独特の魅力があります。

津軽焼を体験できる場所

 青森県弘前市にある津軽藩ねぷた村では、津軽焼の絵付けと粘土細工を誰でも体験することができます。
 絵付けは、あらかじめ素焼きしてある湯飲み茶碗に、古くから使用されている呉須という絵具を用いて好きな絵を描きます。その後の仕上げや焼き上げは職人が行い、約1ヶ月で完成です。(所要時間60分・料金¥1100)
 粘土細工は、手のひらサイズの粘土を丸め、台の上で押しつぶして円盤状の土台を作り、その上に紐状にした粘土をぐるぐると巻きながら重ねていき、自分の好きな形に仕上げます。絵付けと同じくそのあとの工程は職人が行い、約2ヶ月で完成です。(所要時間120分・料金¥1250)
 津軽藩ねぷた村では他にも金魚ねぷた絵付けやりんご土鈴絵付け、弘前こけし絵付けなど、津軽ならではの伝統工芸を体験することができるほか、実際に職人の手作業を間近で見たり、本場の津軽三味線の演奏を聴くこともできます。
 また施設内のアンテナショップでは津軽の工芸品や特産品を購入できますので、津軽へ訪れた際は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。
 最近ではプラスチックやシリコンなど安価で丈夫な食器が広まり、使用されることも多くなりました。たしかにそれらはとても便利なものですし、日常の中で気楽に使うことができます。多少のことでは割れませんし、扱いやすくコストパフォーマンスも高いことから、私たちの生活に欠かせないものになってきました。
 また、陶器も昔に比べて値下がりし、チェーン店などでは100円でそれなりにおしゃれなものを手に入れることもできるようになりました。
 そういった時代背景の中で、津軽焼を含む昔ながらの伝統工芸品の焼き物は厳しい状況に立たされているのが現状です。
 ただ、やはり大量生産品にはない魅力がそこにはあります。職人の手でたくさんの工程を経て焼き上げられる焼き物には、1つ1つに物語があります。手に取って質感を感じ、どんな料理を盛り付けようか?どんな飲み物を飲もうか?誰と使おうか?と想像しながら焼き物を選ぶ時間はとても素晴らしいものですし、実際にその焼き物を手に入れて日々の中で使い込むことは私たちの生活に彩りを与えてくれます。落としたりぶつけたりすると割れてしまう儚いものではありますが、それさえも魅力の1つになるほどの深みが焼き物にはあります。
 また、昨今では小さい子どもに本物を使わせようという風潮も一部で出てきています。子ども用の食器といえば落としても割れないことが大前提という印象がありますが、物心ついたころから本物の質感を身近に感じることで、豊かな感性が育つ助けになるというものです。「落とせば割れる」「大切に使わないと壊れてしまう」という当たり前のことすら、意外と現代社会の子どもたちには体験する機会がありません。本物の焼き物を大切に使わせることで、これから生きていく上での土台となる感覚を養うことができます。
 津軽焼でも子ども用食器は作られています。価格は決して安くはありませんが、小さな頃に「本物」に触れた経験は、その子にとって何ものにも代えがたい経験になります。
 津軽焼は決して華やかな見た目の焼き物ではありませんが、その代わり日々の中にあたたかく溶け込む唯一無二の味わいがあります。
 機会があれば是非一度手に取って、津軽焼の魅力を感じてみて下さい。

参考

津軽千代造窯 https://tsugaruyaki.com/
青森県庁 https://www.pref.aomori.lg.jp/index.html
津軽藩ねぷた村 http://neputamura.com/

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