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【焼き物】『新庄東山焼(しんじょうひがしやまやき)』について解説します【山形県】

山形県の歴史ある四大古窯(よんだいろっこう)のうちの一つ「新庄東山焼(しんじょうひがしやまやき)」をご存じでしょうか?
江戸時代から170年以上の歴史があり、地元の方に長く愛されてきた反面、広くは知られていないため、はじめて聞くという方も多いかもしれません。

「出羽の雪のかげり」や「日本で一番美しい土鍋」、「環境問題に取り組んだレンガ」など、新庄東山焼には素晴らしい魅力がたくさんあります。

焼き物を通して伝統と新しい文化を発信し続けている新庄東山焼。
ぜひ、どんな焼き物なのか知ってみてください。

新庄東山焼 とは

新庄東山焼とは、山形県新庄市の陶磁器です。
天保12年に新庄戸沢藩の御用窯として開かれ、170年以上途切れることなく受け継がれてきました。
新庄市東部の丘陵地帯である東山は、厚い粘土の地層で覆われており、原料の陶土は開窯のころから現在に至るまで敷地内で採取されています。

初代の涌井弥兵衛(わくいやへい)は越後出身で、陶磁器作りの修行のために各地を訪れていましたが、東山の良質な陶土を気に入りこの地にとどまりました。
代々、弥瓶(やへい)という名前を名乗り、弥瓶窯(やへいがま)とよばれることもあります。

家訓をまもる陶器作り

新庄東山焼には、初代の頃から「日常生活の中で誰もが親しんで使える陶磁器を作る」という家訓があり、七代目になった今でも大切に守られています。

よく焼きしまる性質をもった東山の陶土は、仕上がりが丈夫で割れにくいという特性があり、家庭で日常的に使う食器や花器など様々なものが作られています。
また、個展を開催したり展示会へ出展したりと、芸術作品としても高い評価を得て、新庄市の有形民俗文化財に指定されました。

近年は地元からの依頼で農業・工業に関するものを作ったり、地域で陶芸教室を開催し、焼き物を身近に感じてもらうなどの取り組みもされています。

新庄東山焼 特徴

新庄東山焼きは、全国的に数が少なくなっている登窯で作品を焼きます。
秋田県と山形県にまたがる、鳥海山のふもとから採取したもので作る「新庄なまこ」というなまこ釉が有名で、「出羽の雪のかげり」とよばれています。
他にも、そば釉・白釉・みどり釉・油滴天目(ゆてきてんもく)など、家伝の釉薬と新しい手法を用いた様々な作品があります。

なまこ釉

新庄東山焼といえば「出羽の雪のかげり」というくらい、多くの作品に使われている釉薬です。澄んだ青色に魅了される方が多く、食器や花器などに用いられています。

そば釉

新庄東山焼のそば釉は茶色に仕上がっている作品が多く、素朴な雰囲気と落ち着く印象を与えてくれます。花器や茶器、土鍋などに用いられています。

白釉

生成のように自然な風合いの作品で、シンプルですが素朴さと温かみを感じます。食器や茶器などに用いられており、使う人がほっとするような優しさがあります。

みどり釉

淡いパステル調の緑から深緑まで、みどり釉といっても様々な色合いの作品が作られており、色の濃度で印象が全く変わります。

油滴天目

艶やかな黒に油滴が飛び散ったような細かい模様が入っている作品で、銀色の模様が華やかで重厚感があります。抹茶椀や壺などに用いられています。

新庄東山焼 種類

食器・花器・茶器など、日常生活で使われるものを中心に作られています。近年は、インテリアとして使える水槽や苔玉ポット、地元からの依頼物まで幅広く手がけられています。

食器

お茶碗・お皿・湯呑・マグカップなど日常的によく使うものや、3本の足がついた独特な土鍋などが作られています。
かつて作られた土鍋は、民藝運動創始者の柳宗悦(やなぎむねよし)に、「日本の土鍋の中で最も美しい」と言われました。現在でも美しい形に魅了される方が多い作品です。

花器

花瓶・植木鉢など大小様々なものが作られています。
近年作られた苔玉ポットは、上品で可愛らしい見た目からお部屋のインテリアとして人気を集めています。

茶器

急須・抹茶椀・茶壷など、色や模様など様々なデザインのものがあります。
写真は油滴天目を用いた抹茶椀です。

置物

狸や芭蕉立像などの置物もあります。
平成6年放送の「裸の大将」で、主人公の山下清が窯に弟子入りし「たぬき」をつくる場面があり、清役の芦屋雁之助さんが作ったものが、現在も窯元の展示場前に飾られています。

水槽

陶器では珍しい卓上に設置できる円形水槽が作られており、水温が安定しやすいなど陶器ならではの利点があります。人気のアクアリウムも、ガラスの水槽とは違った味わい深いものになるでしょう。植物の栽培や昆虫の飼育にも使用できます。

その他

地元からの依頼を受けて、土管・レンガ・建設用タイルなど、日用品以外の農業・工業に関する焼き物が作られています。また、環境問題への取り組みとして、水質を浄化する効果があるレンガの研究と製作をしています。

新庄東山焼 窯元・作家

新庄東山焼の窯元は、江戸時代から変わらず新庄市の東山に構えられています。
初代の頃から現在の七代目まで、一度も途切れることなく続いており、家訓と伝統を守りながら新しい時代に合った作品作りをされています。

涌井正和(わくいまさかず)さん

六代目弥瓶の正和さんは、昭和55年に五代目弥瓶の長女と結婚し陶芸の世界に入りました。先人たちが良い焼き物を作るためにひと時も手を抜かずに努めていたこと、地元の人に愛される焼き物を目指し作り続けていたことに感銘を受け、正和さん自身も伝統を守りながら様々な作品を生み出しています。
食器・花器・茶器と作品は多岐にわたり、個展の開催や展示会の出展にも積極的に取り組まれています。生み出す作品はどれも高い評価を得ており、平成28年には卓越技能賞を受賞しました。

涌井大介(わくいだいすけ)さん

正和さんの長男である大介さんは、平成17年から陶芸の世界に入り、現在7代目弥瓶を襲名しています。父からの教えを受けながら新しい焼き物作りに挑戦されていて、苔玉ポットや陶器水槽など、現代に合わせた作品を生み出し人気を集めています。
新庄市民プラザでの陶芸教室や地元の幼稚園・学校への出張陶芸教室を行うなど、新庄東山焼を広める活動や地元の人々との繋がりも大事にされています。

涌井良(わくいりょう)さん

正和さんの次男である良さんは、父・兄と一緒に伝統を守りながら作品作りをされています。現代のニーズに合った新しい作品の製作や個展の開催など、大介さんとともに期待がもたれています。

お店:有限会社 新庄東山焼

〒996-0002
山形県新庄市金沢1441
TEL.0233-22-3122
FAX.0233-22-3372

皆に親しまれ愛されている新庄東山焼

本記事では、江戸時代から現在まで続く新庄東山焼について、特徴・種類・窯元をご紹介しました。170年の歴史のなかで途切れることなく続いてきたのは、初代からの家訓を守りながら新しいことにも挑戦し続けてきた結果だと思います。

地元の方以外にはあまり広く知られていない新庄東山焼ですが、出羽の雪かげりや日本で一番美しいと言われる土鍋など魅力がたくさんあり、広めるための活動も積極的にされています。

日用品からインテリア、農業・工業に関するものまで、様々な作品を生み出す新庄東山焼。ぜひお気に入りの作品を見つけてみてください。

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