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【焼き物】『二本松萬古焼(にほんまつばんこやき)』について解説します【福島県】

福島県二本松市でつくられる二本松萬古焼は、手のぬくもりを感じる風合いが魅力です。
古くは江戸時代から二本松藩士の間で愛されてきました。
今回は、そんな二本松萬古焼についてとりあげていきます。

二本松萬古焼とは

二本松萬古焼は1854年に、現在の福島県二本松市で誕生しました。
ふすべ焼の創始者である、山下惣介の子「山下春吉」により始められたといわれています。

春吉の異父兄は京都から職人を雇い入れます。
その職人に影響を受け、春吉は二本松萬古の製造をはじめました。
二本松萬古の製造開始後、萬古焼中興の祖である初代森有節の作品を見る機会に恵まれます。
この機会は春吉がよりいっそう萬古焼の制作に打ち込むきっかけとなりました。
春吉が萬古焼に打ち込んだおかげで、二本松萬古焼が完成していきます。

煎茶器や酒器など手の温もりを感じる「手ひねり」の作品の多いことが特徴です。
茶道に関心のある二本松藩士の中には、二本松萬古焼の制作を行う物も出現しました。
また、失業浪士の働き口としての側面ももち、二本松市では多くの人によって二本松萬古焼の製造が行われるようになります。

明治から昭和にかけて二本松萬古焼の製造は、減少の一途をたどります。
生産が少なくなっていた二本松萬古焼は、戦争で一時廃業してしまいました。
しかし戦後、井上窯の2代目井上善夫の父により復興が果たされます。

現在萬古焼の製造をしているのは、戦後復興を果たした井上窯1件軒が残るのみです。
2代目「井上善夫」は益子での修行ののち、窯を引き継ぎました。
そして現在は、善夫の娘である井上舞も萬古焼の製造を行っています。

二本松萬古焼の特徴

二本松萬古焼は、手ひねり型くずし製法で作られます。
そのため、手の風合いを感じる温かな作風が特徴。
地元、福島県二本松市の粘度を用いて作られ、焼〆するため自然な風合いが魅力です。
釉薬は井上窯独自のブレンドのものも使われます。
釉薬はその時々によって調合するため、同じ発色をする磁器がありません。
そのため正真正銘、世界に1つだけの磁器です。

現在二本松萬古焼を製造している2代目善夫と、娘の舞の作風がことなります。
善夫は工芸美術展での受賞経験もあり、大きな作品から日常の茶器までを手がけています。
独創的な大型の甕なども製造していて、自由でユニークな発想が特徴です。

娘の舞は、モチーフや日用雑貨を得意としています。
その中でも特徴的なのが陶器のペンダントです。
モチーフから設計し、リバーシブルの使用になったペンダントは、陶器ならではの風合いが存在感を示します。
萬古焼は軽い磁器のため、重さを感じないことも特徴です。

釉薬を用いた二本松萬古焼は、カラフルで艶やかな色合いが魅力。
ポップな作品も多く、食卓や日常を彩ってくれます。
一方釉薬を使用しない二本松萬古焼は、土の自然な色合いを楽しめることが特徴。
使用していくと器が育ち、艶をもちます。

艶をもつ要因は、水や酒に含まれるミネラルです。
ミネラルが器にしみこむことで、色が柔らかくなり、艶がでてきます。

二本松萬古焼の種類

二本松萬古焼には「手びねり型くずし製法」と、「ろくろ製法」の2種類の製法があります。
それぞれの製法の違いについて解説していきます。

手びねり型くずし製法

手びねり型くずし製法は、木型を用いて器を製造する方法です。
井上窯で、全国で一番多く木型を所有していて、修理や修繕を加えながら伝統を引き継いでいます。
「伝統工芸技術の保存及び後継者の育成を図るための活動など」の第29回助成に採用され、2021年には急須や土瓶をはじめとする44ヶの木型を修繕したそうです。
古くなり壊れたり、部品がなくなったりしていた木型すべてを修繕しているそうです。
今回の修繕を経て、すべての木型が復活されます。

手びねり型くずし製法は、製造が難しく時間もかかるため、全国でも珍しい製法です。
一番大きい作品は急須の型です。
希少性が高く、他の窯ではなかなか目にできません。

ろくろ製法

一般的に器作りで思い浮かべられるのが、ろくろ製法ではないでしょうか。
ろくろ製法は、ろくろと呼ばれる円盤を回しながら器を作ります。
円盤の上に土を置き、遠心力によって手で形を作っていくため、同じ作品をつくるには高い技術が必要です。

ろくろは円形の作品の制作にぴったりの製法です。
主に飯椀や吸い物椀、カップなどが作られます。

二本松焼

井上窯では二本松萬古焼以外に、二本松焼も作られています。
二本松焼は江戸時代から製造が続けられる磁器で、日用品を中心に製造されていました。
一時廃れてしまいましたが、昭和54年善夫の手で復活を遂げます。

釉を用いたカラフルな色合いが特徴で、機能性が高く使い安い器です。
自由な発想で作られる、ユーモアあふれる作品が多く、ポップな器やユニークな器が好きな方にとくに好まれています。
カップや茶器、プレートなどが製造されています。

二本松萬古焼の窯元・作家

二本松萬古焼の窯元は、福島県二本松市にあります。
現在作家は井上窯の二代目・井上善夫と、善夫の長女・井上舞さんの2人です。
親子で特色のことなる器を製造しています。

窯では陶芸教室も行っています。
陶芸を行ったことがない初心者の方でも器の制作が可能です。
コースは、豆皿やちいさなぐい呑みが作れる1,000円コース・小皿やコーヒーカップが作れる2,000円コース・中皿やマグカップが作れる3,000円コースにわかれています。
時間や粘度の量はそれぞれ以下の表の通りです。

金額 時間 粘度の量 作れる物
1,000円 30分~50分 100g 豆皿またはぐい呑み
2,000円 30分~60分 200g 小皿またはコーヒーカップ
3,000円 60分前後 400g 中皿またはマグカップ

スクロールできます

また、1,000円で100g粘度を追加することもできます。
陶芸教室は前日までの予約制です。
完成した作品は窯で焼いてからの受け取りになります。
受け取りは自己負担での発送してもらう方法と、店頭での受け取りから選択可能です。

また、店頭では器の販売も行っています。
月ごとにおすすめの器がホームページ上で告知されているので、気になる方はチェックしてみてください。

2021年8月現在ホームページ上に紹介されている器で一番高額な器は酒杯の55,000円です。
手間ひまかけて作られていて、独特な色合いが魅力。
一番低価格な器はさくらシリーズの小皿で、770円~です。
特別なプレゼントに最適な器から、日常に寄り添うような器までを取り扱っています。
器の購入は店頭だけでなく電話やファックス、E-mailも対応可能です。

また、井上窯は「ふくしまの未来を育む森と住まいのポイント事業」に協賛しています。
そのため、対象の器はポイントを交換することも可能です。
こちらも詳しくは、井上窯のホームページに記載されているので、そちらを確認してみてください。

井上窯
住所:〒964-0003福島県二本松市二伊滝1-456
TEL:0243-23-2195
FAX:0243-22-5505
E-mail:inoue456@crocus.ocn.ne.jp
営業時間:9:30~17:30
定休日:毎週水曜日

まとめ

今回は福島県二本松市で製造されている、二本松萬古焼について紹介しました。
二本松萬古焼は、江戸時代から続く焼き物です。
萬古焼ならではの、ユニークで自由な器が魅力。
親子代々引き継がれる全国で希少な製法が、温かみのある器作りにつながっています。
井上窯では、陶芸教室を行っており、気軽に陶芸に触れられることもポイント。
陶芸を通して土の感触や物作りを楽しめるので、お子さんやパートナー、友人と一緒に思い出作りに訪れるのもおすすめです。

また、器の販売も行っているので、日常で使う小皿やカップを探している方も、ぜひチェックしてみてください。

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