初心者の金継ぎキットはどう選ぶ?おすすめのキット4選を紹介

いま金継ぎがとても流行ってますよね!
テレビで取り上げられたり、本屋さんでも金継ぎの道具がついてる本が売られていたりと、いろんなところで目にすると思います。

最近では金継ぎキットもたくさん登場し、ネット通販やホームセンターなどで簡単に買えるようになりました。

ただ、正直に言います。
初心者が使いづらい金継ぎキットを購入しても、絶対に金継ぎはできません

教室には、「金継ぎキットを買って使ってみたけど、全然上手くできなかった」という方や、「買ったはいいものの、わかりづらくて使っていない」という方がたくさん来ます。

金継ぎキットは安いものではありませんし、買うのを失敗してほしくありません!

なのでこのページで、金継ぎキットの詳しい説明と、選び方やおすすめ商品について紹介します。
ぜひ参考にしてください。

まずは、本当に金継ぎキットを買うべきか考えてほしい

金継ぎキットの選び方について教えると書きながら申し訳ないですが、まずは本当に買うべきなのか考えてください。

  • どこまで金継ぎをやりたいのか
    →趣味にしたい
    →副業にしたい
    →教室を開きたい 等
  • 何個の器を金継ぎしたいのか
    →家に欠けた器が10個ある
    →破損した器を購入して直す 等

いろんな買う理由があると思いますが、理由によっては金継ぎキットを買うのをおすすめしない人もいますので、詳しく説明していきます。

金継ぎキットには有効期限がある

金継ぎキットの中には様々な道具が入っていますが、これらには有効期限があります。この有効期限が過ぎてしまえば、もちろん金継ぎが失敗してしまう可能性が高まります。

つまり、金継ぎキットはずっと使えるわけではないということです。

いろんな金継ぎキットがありますので一概には言えませんが、だいたい半年~2年が有効期限だと思います。

「救急箱のように自宅に金継ぎキットを置いておきたい」という方がよくいますが、これは無理だということです。

直すには十分すぎる量が入っている

こちらも一概には言えませんが、どの金継ぎキットも器を20~30個は直せる道具が入っていると思います。

言い換えれば、直したい器が20~30個あるなら購入してもよいが、そうでない場合は道具が無駄になってしまうということです。

なのでもし、「手元に2~3個ほど破損している器があり、とりあえずそれが直せればよい」という方がいたら、金継ぎキットを買うより教室で直す(または修理依頼する)方がおすすめです。

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金継ぎキットを選ぶために抑えておきたいポイント

「買うのをおすすめしない人」という内容を書きましたが、それに当てはまらない方には金継ぎキットはぜひおすすめです!

では次に、金継ぎキットにどんな種類があるのかを説明したいと思います。

本漆の金継ぎキットか、本漆以外の金継ぎキットか

実は金継ぎにはやり方がたくさんあります。なので、どのやり方で金継ぎするかで購入するキットも変わります

種類は大きく分けて2つです。

  • 本漆の金継ぎキット
  • 本漆 “以外” の金継ぎキット

本漆というのは『漆の木の樹液』のことで、これを使用して行われるのが日本古来から行われている金継ぎです。

そして最近では本漆を使用しないで行う、『簡易金継ぎ』という方法も登場してきました。この簡易金継ぎができるキットが❷になります。

冒頭にも書いたとおり、市販されている物の中には初心者が使いづらい金継ぎキットもあります

どっちの金継ぎをしたいか決めた方は、以下に避けた方がいいポイントを紹介しますので確認してください

本漆・簡易金継ぎの詳しい説明や、どっちで直すか決めていない方はこちら

本漆金継ぎのキットを選ぶポイント

『生漆』以外にも本漆が入っていること

本漆の金継ぎキットの内容物を見てみてください。以下のどれかが入っています。

  • 生漆
  • 透漆
  • 素黒目漆
  • 黒呂色漆
  • 絵漆(弁柄漆)
  • 上ズリ漆

『生漆』は入っているのですが、絵漆が入っているキットは少ないと思います。

悪いことは言いません!
初心者は『生漆』だけしか入ってないキットは買わない方がいいです。

理想は『生漆』『黒呂色』『絵漆(弁柄漆)』の3つが入っているキットがおすすめです。

もちろん、生漆だけしか入っていないキットでも金継ぎはできます。生漆に混ぜるための粉が入っているので、それを混ぜることで金継ぎをしていくわけです。

ただ、粉を混ぜるのは失敗しやすいんです…
「上手くできなかった」といって、修正するために教室に来られる方の多くが練りが甘い…

私も粉を漆に混ぜることがありますが、混ぜる時の動画をお見せします。

これは何をしているかというと、ガラス板に素黒目漆と弁柄粉を出し、水牛の角で粉をすり潰しているところです。
水牛の角じゃなくても、練り棒でできます。

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練り棒に加えて、さらに大きな板(ガラスなど)が必要です。
これらを追加で購入するとなったら、金額的に大変ではありませんか?
キットを10,000円で購入しているのに、綺麗に仕上げるためにはさらにお金を払って道具を揃えていく必要があるわけです。

粉にしている理由は、それぞれの漆をキットに入れると原価が高くなってしまいますから、販売側が儲けるために粉タイプにしているのだと思います。
それで仕上げが汚くなってしまい、悩んで教室に相談に来るお客様が非常に多いんです…

どれだけ大変なのか、実際に生漆から黒呂色を作っている方の投稿があったので紹介しておきます。

以上、見ていただいたように、粉から漆を作るのは初心者にはカナリのハードルです。

また、そもそも漆ごとに効果が違いますし、それを使い分けるからこそ しっかり使える金継ぎなりますので、粉が分かれていて10,000円くらいの本漆金継ぎキットを購入するなら、本漆を単品で購入した方が絶対に良いです。

簡易金継ぎのキットを選ぶポイント

上で紹介した『❷本漆 “以外” の金継ぎキット』が、簡易金継ぎキットになります。

こちらも選ぶうえで重要なポイントがありますので、しっかり確認してください。

食器に使える道具が入っていること

簡易金継ぎは本漆を使用しません。本漆の代わりに、接着剤・エポキシ樹脂・合成うるしなどを代用して器を直します。

本漆は使い方が難しかったり、漆による肌かぶれが起きるリスクがありますが、食器に安心して使用できます。

しかし、簡易金継ぎは接着剤などを使用するため、手軽に作業できるかわりに食器に使える道具なのか注意しなければいけません

接着剤やエポキシ樹脂などを販売しているセメダインも、公式でしっかりアナウンスしています。

全部の道具が食品衛生法基準をクリアしていること

食器に使用できるという基準として、厚生労働省が定めている『食品衛生法370号』というものがあります。
この基準をクリアしている道具が簡易金継ぎキットに入っているかどうかが選ぶポイントとなります。

そしてもう一つのポイントが、”全部の道具が食品衛生法基準をクリアしているかどうか” という点です。

簡易金継ぎキットで検索していると、「食品衛生法適応です」と書かれているキットがよくあります。
ただ、よく見てみるとそれは表面だけがクリアしていて、下地に使われる道具はクリアしていない道具になっています。

金継ぎというのは、使っていれば表面が研磨されていきます。これは本漆金継ぎだろうが、簡易金継ぎだろうが同じです。
スポンジで洗ったり、触っているだけでも表面が薄くなっていきます。

ということは、長く使っていると表面が薄くなり、下地に使用されている接着剤やエポキシ樹脂などの素材から、身体に良くない物質が溶け出してくる恐れもあるわけです。

なので、安心して、長く器を使用したい方は、全部の道具が食品衛生法基準をクリアしている物を選びましょう。

おすすめの金継ぎキット

ここまで読んでいただき、

  • 本漆の金継ぎキット
  • 本漆 “以外” の金継ぎキット

の、どちらのキットを購入されるか決まりましたでしょうか?

それぞれのおすすめを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

おすすめの本漆金継ぎキット

金継ぎ小箱/鹿田喜造漆店

18,700円(税込)

生漆(入ってる)
黒呂色漆(入ってる)
絵漆(弁柄漆)(入ってる)
上ズリ漆(入ってる)
動画説明(入ってる)

金継ぎに使用する道具がほとんど入っていますので、とても親切なキットに仕上がっています。

鹿田喜造漆店さんも、有名な漆屋さんですから安心です。

これから金継ぎを始める方で、「何買ったらいい?」という方は、これを買っておけば道具の心配はありません

金継ぎコフレ/堤浅吉漆店

16,500円(税込)

生漆(入ってる)
黒呂色漆(入ってない)
絵漆(弁柄漆)(入ってる)
上ズリ漆(入ってない)
動画説明(入ってる)

堤浅吉漆店から販売されている、本漆の金継ぎキットです。

漆の質が高いことが一番の理由です。

堤浅吉さんは自社内で漆の精製を行っていますし、国内でも大手の漆屋さんです。
少し値段は高いですが、食器に使用する金継ぎですし、しっかりした物を選びたいなら金継ぎコフレにしましょう。

他にも本漆の金継ぎキットは販売されていますが、『生漆』以外にの本漆が入っているキットがほとんどありませんでした。

「高い!」と思う人が多いと思います。
だからこそ、購入は失敗してほしくない…

10,000円くらいの物も売られていますが、結局追加で道具を揃えていったら高くついてしまう可能性もありますし、やりづらくて失敗するリスクも高くなります

ぜひ、しっかりした漆屋さんが販売するキットを検討してください。

おすすめの簡易金継ぎキット

簡易金継ぎキット/金継ぎ暮らし

6,000円(税込)

接着剤(食品衛生法基準クリア)
エポキシパテ(食品衛生法基準クリア)
合成うるし(食品衛生法基準クリア)
動画説明(入ってる)

使用する道具のすべてが日本の国産品で、かつ、食品衛生法基準をクリアした物で揃えてあります。

同じレベルで揃えているのは他にありませんでしたので、簡易金継ぎキットで選ぶならこれしかないと思います。

また、説明書は紙もありますが、さらに詳しくインターネットに掲載しています。

そのため、新しい情報が更新されていきますから、長く楽しんでいただけます

また、問合せ窓口によるサポートも充実していますので、はじめての方でも簡単に簡易金継ぎが楽しめます

他にも簡易金継ぎキットは販売されていますが、食器に使えるキットがありませんでした。

「え?これ食器に使えるって書いてあるよ?」と思う人が多いと思います。
しかし、それは表面の素材だけが食器に使えるだけです。

なので、少しでも表面が変化したら下の素材が溶け出してくる可能性がありますから、何度も何度も表面を塗りなおさなくてはいけません

それでも溶け出してくる可能性はありますから、それでも大丈夫という人や、何度も金継ぎする手間が発生しても大丈夫という人は、他の簡易金継ぎキットもいいと思います。

ただ、安全な道具で、安心して食器に使用したいと考えているなら金継ぎ暮らしの簡易金継ぎキットを検討してください。

金継ぎで器を修繕したあとの注意点

購入するキットが決まったとしても、最後にもう一つ注意点があります。
それは、金継ぎしたあとの器は使えないものがあるという点です。

直火やオーブン・電子レンジを使用しない

金継ぎした器は、電子レンジの使用はできません
表面の金が発火してしまい、コゲてしまいます。

耐熱皿や土鍋などを金継ぎする場合は、本来の用途に使えなくなるので注意が必要です。

食洗機もなるべく避ける

食洗機もなるべく使用は控えた方がいいです。
漆が剥がれて美観を損ねたり、金継ぎした部分が再度壊れたりする可能性があります。

食器用洗剤をつけて優しく手洗いする分には問題ありません。

水に長期間浸けない

金継ぎした器を長い間水に浸けると漆の劣化に繋がります
金継ぎしたお椀で汁物を食べる程度ならよいのですが、流しの中で何日も浸けてしまうのは避けてください。

こうした理由から、睡蓮鉢や実用品の花瓶などは金継ぎには向きません。

MR漆といった、水に強く作られている漆がありますので、そちらを使用することで改善できる場合があります。

初心者はキットから始めるのがおすすめ!内容と販売元は要チェック

金継ぎには、やり方の種類があること。
そして、その種類ごとにキットがあることをお伝えしました。

それぞれの選び方についてお伝えしましたが、それでも悩んでいる方はご連絡ください!
お電話でもメールでも、詳しくお答えします。

電話番号03-6824-6511
メールsupport@kintsugikurashi.com
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逆に、「このキットはよかった!」というお声も大歓迎です。
お気軽にご連絡いただけると嬉しいです。

金継ぎキットは安くありません!
じっくり悩んでから購入していただくのがおすすめです。
むしろ、買わないという選択肢もあるかもしれません。

このページを参考にしていただき、後悔しないお買い物にしていただければ幸いです。